採用写真は「撮り直す」ものだと思われている
採用サイトの写真は、2〜3年で古く見えてきます。オフィスが移転した、制服が変わった、写っている社員の方が退職された。そうしたきっかけで「そろそろ撮り直そう」となるのが一般的です。
このとき多くの場合、前回の写真は使われなくなり、新しい写真に丸ごと入れ替わります。撮影のたびに、ゼロからやり直しているわけです。
もちろん、それで困ることはありません。ただ、過去に撮った写真には、入れ替えるだけではもったいない価値が残っています。
同じ方を撮り続けると、写真が変わっていく
毎年撮影に伺っていると、同じ方を続けて撮らせていただくことがよくあります。すると、年を追うごとに写真の中身が変わっていきます。
1年目は、撮られること自体に緊張されている。2年目になると流れが分かっているので、表情が自然になる。3年目には「仕事風景なら、この場面がいいですよ」とご本人から提案してくださるようになります。
この「具体的な仕事の場面」は、ご本人にしか出せません。カメラマンにも採用担当者にも、その部署の日常の細かいところまでは分からないからです。撮影の回数を重ねるほど、写真の見た目の質と、伝わる仕事内容の質が、どちらも上がっていきます。
このあたりの話は、「カメラが苦手」と「撮られるのが嫌い」は違うでも詳しく触れています。
いちばん大きいのは、「時間」が写ること
撮り続けることの価値は、写真の質だけではありません。いちばん大きいのは、その方が過ごしてきた時間が写真に残ることです。
毎年撮影に伺っていると、新人の頃に撮った方が、いつの間にか後輩を指導する立場になっていることがあります。数年前は先輩に教わっていた方が、今度は新人に仕事を教えている。同じ方の数年分の写真を並べると、それだけで「この会社に入ると、こう育っていく」という道筋が見えます。
たとえば、ある社員の方をこんなふうに撮り続けたとします。
- 入社1年目:先輩の横で、メモを取りながら仕事を教わっている
- 数年目:ひとりで現場を任され、お客様と向き合っている
- 後輩ができた年:今度は自分が、新人に仕事を教えている
この写真を並べるだけで、キャリアアップのページが作れます。しかも3枚目には、その年に入った新人の方も一緒に写っています。その新人の方を翌年も撮り続ければ、次の物語がもう始まっています。
求職者がいちばん知りたいのは「入社後どうなるか」
採用サイトには「入社3年目で主任に」「若手にも裁量がある」といった言葉がよく並びます。ただ、文章だけでは、読む側は実感を持ちにくいのが正直なところです。
同じ方が、新人から先輩へ、そして後輩を教える立場へと変わっていく写真は、言葉よりずっと具体的に伝わります。作り込んだモデルケースではなく、実在する一人の数年間だからです。
入社後の働き方が具体的に想像できれば、「聞いていた話と違った」というミスマッチを減らすことにもつながります。入社後のギャップについては、入社後の「こんなはずじゃなかった」をゼロに。写真で伝える「働く温度感」と納得感もあわせてご覧ください。
始めるために、やっておきたいこと
特別な企画は必要ありません。いつもの撮影を、少しだけ「続ける前提」で組み立てるだけです。
① 撮影の時期を、毎年そろえる
季節がそろっていると、写真を並べたときに変化が「時間」として伝わります。毎年春の新人研修の時期、秋の採用前など、時期を固定しておくと比べやすくなります。
② 続けて出ていただける方に、先にお願いしておく
撮り続けるには、ご本人の了承が前提です。「来年以降も撮らせていただくかもしれません」と、最初の段階でお伝えしておくと、無理なく続けられます。撮られ慣れている方、撮影に前向きな方から始めるのが確実です。
③ 過去の写真を、捨てずに整理しておく
サイトから外した写真も、撮影年と名前で整理して保管しておきます。数年後に並べたいと思ったとき、どこにあるか分からないのがいちばん困ります。
④ 異動や退職のときの扱いを、決めておく
社員の方が退職されたとき、過去の写真をどうするか。掲載を続けてよいかどうかは、ご本人の意向を確認するのが原則です。あらかじめ社内でルールを決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
毎年同じカメラマンが伺うと、前回どの方をどんな場面で撮ったかが分かっているので、「去年はここで撮ったので、今年はこの角度で」と自然に続きを組み立てられます。撮影に「積み重ね」が効く理由は、毎回違うカメラマンと、専属カメラマンでもお伝えしています。
まとめ:採用写真は、撮り足していくもの
整理いたします。
- 採用写真は「撮り直す」だけでなく、「撮り足していく」こともできる
- 同じ方を撮り続けると、表情も、写る仕事の中身も良くなっていく
- 新人から上司になるまでを撮れば、キャリアアップのページが作れる
- 実在する一人の数年間は、文章よりずっと具体的に入社後を伝える
- 始めるには、時期をそろえ、ご本人の了承を得て、写真を保管しておくだけ
今年撮った写真は、数年後に「最初の1枚」になるかもしれません。一度きりの撮影で終わらせず、続きを撮れる形にしておく。SIGNAL FORWARDでは、そうした長い目での撮影計画も、一緒に考えさせていただいています。