最近、新卒採用に関する大きなニュースが立て続けに報じられています(日経ビジネス・2026年4月報道より)。
住宅大手
前年比 約4割減
重機大手
前年比 約4割減
エネルギー大手
27年卒 採用見送り
出典:日経ビジネス(2026年4月報道)
──いずれも日本を代表する大企業です。
採用担当者にとって、これは他人事ではないと感じる方も多いのではないでしょうか。「自分の会社も、いずれこうなるのか?」と。
序章で、採用とインナーブランディングの違いについてお話ししました。第1部となる今回は、いま採用市場で何が起きているのか、なぜ起きているのかを、最新のデータと具体的な企業事例で整理していきます。
結論から言うと、起きているのは「採用戦略の二極化」です。
大手企業で「採用を絞る」動きが本格化
まず、現状を数字で見ていきます。
マイナビキャリアリサーチLabの「2027年卒企業新卒採用予定調査」(2026年2月)によると、採用予定数を「増やす」と回答した企業の割合は、2025年卒の32%、2026年卒の29.4%から、2027年卒は23%まで低下。2年連続の減少です。
採用予定数を「増やす」と回答した企業の割合(年次推移)
出典:マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒企業新卒採用予定調査」(2026年2月25日発表)
リクルートワークス研究所が発表した「採用見通し調査(2027年卒)」(2025年12月)によると、2027年卒の新卒採用D.I.(「増える」企業の割合−「減る」企業の割合)は5.4%ポイント。5年連続のプラスは維持していますが、前年(2026年卒)の7.8%ポイントから2.4ポイント低下したと報告されています。
特に注目すべきは、従業員5,000人以上の大企業です。同調査では、大企業のD.I.は9.2%ポイントで、前年の24.2%ポイントから15ポイントも急低下したと報じられています。これまで採用を牽引してきた大企業の勢いが、明確に弱まり始めているのです。
そして、冒頭に挙げた大手企業のような具体的な「採用大幅減」の発表が、今年に入って次々と報じられています。
何が大企業を動かしているのか ─ 背景に注目される「AIによる業務代替」
なぜ、大企業は採用を絞るのか。背景にはいくつかの要因がありますが、注目されている要因のひとつが、AIによる業務代替です。
日経ビジネスとリクルートマネジメントソリューションズが共同で実施した調査(採用担当者779人対象・2026年)では、「AI活用が進むことで新卒採用人数が今より少なくなる」という問いに対し、合わせて約4割の企業が、AIが新卒採用に与える影響を予見していると報告されています。
世界経済フォーラムの「Future of Jobs Report 2025」(2025年1月発表)でも、同様の流れが世界規模で起きていることが示されています。雇用主の41%が、AIによる業務自動化に伴って人員削減を見込んでいるというデータです。
新入社員に任せられてきた業務──データ入力、議事録作成、定型的な資料整形、簡単なリサーチなど──の多くは、生成AIの方が早く、安く、正確に処理できる時代になっていると言われます。マイナビの調査でも、「データ入力」「集計業務」といった作業は半数以上の企業がAI代替可能と回答していると報告されています。
つまり、新入社員の「最初の仕事」がそもそも消えつつある。これが、大企業が採用を絞る背景のひとつとして、専門家の間で分析されている構造です。
一方で、新卒採用を「貫く」企業もある
ここで重要なのは、すべての企業が採用を絞っているわけではないということです。
たとえば、独立系SIer業界のある大手企業は、30年以上にわたって連続増益を続ける優良企業として知られていますが、毎年100名以上の新卒を安定して採用し続けていると報じられています。
同社が新卒採用を重視する理由として報じられているのは、全員が同じ基礎を共有して育つことで、技術や市場の変化に対して組織全体でスピード感を持って対応できるという考え方です。そしてもうひとつの重要な視点として、AI時代だからこそ、人と人の信頼関係が重要であるという経営姿勢が紹介されています。
これは大手企業の動きとは真逆の戦略です。AIで効率化できることは効率化する。しかしそれと並行して、人と人の関係性で動く部分こそ、新卒採用で時間をかけて育てる価値がある──そう判断している企業も、確かに存在しているのです。
二極化が意味すること
ここで起きている構造を整理すると、こうなります。
- 代表例:大手住宅・重機・エネルギー等
- 方針:新卒縮小、中途・経験者採用へ
- 重視:AI活用による業務効率化、即戦力人材
- 既存社員投資:リスキリング、エンゲージメント強化
- 代表例:独立系SIer等
- 方針:毎年安定した新卒採用を継続
- 重視:組織の一体感、人と人の信頼関係
- 既存社員投資:新人と既存社員の関係性育成
どちらが正解、ということはありません。業種・規模・成長フェーズ・経営者の哲学によって、最適解は異なるからです。
ただし、共通して言えることがあります。
どちらの戦略を取るにしても、「人」への投資は減らしてはいけないということ。採用を絞る企業ほど、残った社員のエンゲージメントを高める投資が決定的に重要になります。新卒を貫く企業ほど、新人と既存社員をつなぐコミュニケーションが機能しなければ、採用効果は半減します。
つまり、戦略Aでも戦略Bでも、社内の「人」を動かし続ける仕組みが必須なのです。
撮影サービスは、両方の戦略で価値を発揮する
ここで、撮影サービスの話につなげさせてください。
序章でお伝えした「採用とインナーブランディングは両輪」という話が、ここで具体的に効いてきます。
戦略A(採用を絞る側)にとっての撮影サービス
新卒採用人数を絞った分、既存社員のエンゲージメント強化が経営課題の中心になります。経営者メッセージ動画、部署紹介動画、ベテラン社員の1日密着、表彰式・周年イベントの記録──これらは「インナーブランディング撮影」として、社員が自社への誇りを再確認する素材になります。
戦略B(新卒重視の側)にとっての撮影サービス
新卒を採り続けるためには、会社の「らしさ」を外に発信し続ける素材が不可欠です。採用サイトのトップビジュアル、社員ポートレート、SNS用の動画、会社説明会資料。これらは「採用発信のための撮影」として、応募してくれる学生の質と量を支える素材になります。
そして実は、この2つは大きく重なっています。経営者メッセージ動画は、社員にも応募者にも届きます。1日密着動画は、新人の動機形成にも、既存社員の誇り醸成にも役立ちます。
つまり、撮影への投資は、戦略A・戦略Bどちらの企業にとっても「会社の人を動かす燃料」になるのです。
第2部に続く
ここまで、AI時代の採用市場で起きている「戦略の二極化」の構造を、複数の調査・報道をもとに整理しました。そして、撮影サービスがどちらの戦略でも価値を発揮することにも触れました。
次回・第2部では、「中小企業はこの状況をどう受け止めるべきか」を掘り下げます。
- → 大手企業の採用戦略変化が、中小企業の採用にどう影響するのか
- → 中小企業が今、戦略AとBのどちらを選ぶべきか
- → 限られた予算の中で、撮影投資をどう設計するか
このあたりを、現場の感覚も交えて整理していきます。第2部もぜひお楽しみに。
- 本記事は、各種公表資料・調査・報道をもとに、採用市場の動向を整理したものです。SIGNAL FORWARDによる独自取材に基づくものではありません。
- 引用した数値・事例は、各報道機関・調査機関が2026年4〜5月時点で公表していた情報に基づいています。個別企業の採用予定数や採用方針は、公表時点・集計基準・今後の見直しにより変動する場合があります。
- 本記事の見解は採用市場全体の動向分析であり、特定企業の採用判断の理由を断定するものではありません。
- 最新かつ正確な情報は、各一次ソース(企業のIR発表、調査機関の公式ページ)をご確認ください。
- 本記事の引用・転載に関しては、出典の明記と一次ソースへの確認をお願いいたします。
