誤解を恐れずに言います。写真の技術が高いカメラマンは、世の中にたくさんいます。露出・構図・ライティング——これらを正確にこなせるプロは多い。でも、「Webで使える写真」を理解しているかどうかは、まったく別の話です。

「きれいに撮れたのに使えない」がなぜ起きるか

カメラマンに依頼して写真が届いたとき、こんな経験はないでしょうか。横位置の写真しかなくて、縦型のInstagramに使えない。人物が中央に寄りすぎていて、サイトのヘッダーにテキストを乗せるスペースがない。明るく映えているけれど、会社の落ち着いた雰囲気と合わない。

これらは技術の問題ではありません。「この写真がどこで使われるか」を理解した上で撮影していないために起きる問題です。

よくある失敗:縦横の比率

全カット横位置で納品 → Instagramのリール・ストーリーズに使えない。縦・横・スクエアのバリエーションを意識して撮らないと、媒体ごとに詰まります。

よくある失敗:構図の余白

人物をセンターに寄せすぎる → サイトのメインビジュアルにテキストを重ねるスペースがない。Webでの「使い方」から逆算した構図を最初から意識する必要があります。

よくある失敗:雰囲気のズレ

「明るく、笑顔で」の指示だけで撮影 → できた写真が会社のブランドトーンと合わない。事前にサイトやSNSを確認してトーンを合わせる作業が必要です。

Web制作会社で5年間、やっていたこと

私がWeb制作会社の撮影ディレクターとして働いていた5年間、現場で常に考えていたのは「この写真はどのページのどの位置に入るか」でした。サイトのワイヤーフレームを見ながら撮影リストを作り、各カットの用途・比率・トーンを事前に設計してから撮影に臨む。これが当たり前の仕事でした。

フリーランスになった今も、この習慣は変わっていません。ヒアリングの段階で「どこで使うか」を徹底的に確認し、撮影リスト(香盤表)に落とし込んでから撮影します。結果として、納品した写真がそのまま使える状態になっています。

1人3役の本当の意味

カメラマン・ディレクター・Webディレクターを1人が担うことで、「使い道から逆算した撮影」が最初から設計できます。複数の担当者が分業する場合、どうしても「撮影した後に使い道を考える」順番になりがちです。この差が、素材の使いやすさに直結します。

担当者に「指示の仕方がわからない」と言わせない

「カメラマンに何をどう伝えたらいいか分からない」という声をよく聞きます。これは担当者の経験不足ではなく、カメラマン側が情報を引き出せていないことが多い。私は事前ヒアリングで使用先・ターゲット・ブランドトーン・必要なカット数を確認し、撮影当日の進行まで設計します。担当者は「よろしくお願いします」で来ていただければ十分です。