先日、ある企業の採用撮影を終えて、納品した写真を改めて見返していました。社員の方々の表情がどれも自然で、生き生きとしている。「なぜだろう」と振り返ったとき、2つの理由に気づきました。これは撮影技術の話ではなく、現場の「空気」の話です。
理由① リピート訪問が生む「信頼の連鎖」
その会社には、採用撮影で何度も訪問させていただいていました。何度か顔を合わせるうちに、顔見知りの社員さんが生まれます。撮影当日、その方が私に「お久しぶりです!」と笑顔で声をかけてくれました。
その瞬間、隣にいた初対面の社員さんの表情が、ふっとほぐれたのがわかりました。「このカメラマンは、ここに何度も来ている。信頼できる人なんだ」という空気が、言葉なしに伝わったのだと思います。
初めて撮影してもらうとき、少し緊張していました。でも、先輩が「あ、また来てくれたんですか!」って言ってるのを見て、なんか安心したんですよね。
これは初回の撮影では絶対に生まれない空気です。積み重ねてきた訪問回数そのものが、信頼の証明になっている。採用写真においてリピート依頼をいただくことの価値は、こういうところにもあります。
理由② カメラマン一人であることが、逆に緊張をほどく
プロの撮影現場には、複数のスタッフが来ることがあります。カメラマン・ディレクター・アシスタント・場合によってはヘアメイクさんも。それぞれ必要な役割ですが、採用写真の撮影では、この「人数」が問題になることがあります。
モデルやタレントの方であれば、大勢のスタッフに囲まれた現場にも慣れています。でも採用写真の主役は、普段デスクで仕事をしている社員の方々。「撮られること」に対して、完全な素人です。その方たちに自然な表情を出してもらうためには、現場の空気をできるだけ日常に近づけることが大切です。
求職者が採用写真に求めているのは「きれいな写真」ではなく「この会社で働く人たちの本当の雰囲気」です。作られた笑顔より、自然な表情のほうが、人の心を動かします。そのための環境づくりも、カメラマンの仕事のうちだと考えています。
「いい写真」は、撮影が始まる前に決まっている
写真の良し悪しは、シャッターを切る技術だけで決まるわけではありません。どんな空気の中で撮影するか、撮られる方がどんな状態でカメラの前に立つか。そこまで含めて設計することが、採用写真においては特に重要です。
SIGNAL FORWARDが一人で訪問し、ヒアリングから撮影まで同じ人間が担当する理由の一つは、ここにあります。顔なじみのカメラマンが一人でいる現場が、社員さんにとって最もリラックスできる環境だと、現場を重ねるごとに確信しています。