「納品してもらった写真、なんか色が変じゃない?」——撮影後のやり取りで、こういった声をいただくことがあります。実際にカメラマン側で確認すると、こちらのモニターでは問題なく見えている、というケースが少なくありません。
これは写真の品質の問題ではなく、見ているモニターの「精度」の違いによって起きています。プロのクリエイターが使うモニターと、一般的なオフィスのモニターは、同じ画像を表示しても見え方が異なります。このコラムでは、その仕組みをわかりやすく解説します。
一般的なモニターとカラーマネジメントモニター、何が違う?
モニターには大きく分けて、一般的なディスプレイと、クリエイター向けの「カラーマネジメントモニター」があります。価格帯も用途も異なり、色の見え方に明確な差があります。
- 2〜5万円程度が一般的
- 出荷時の色設定のまま使われることがほとんど
- 使用年数が経つと輝度・色味が変化する
- 色の正確さより価格・視認性が優先される設計
- 機種・メーカーごとに見え方のバラつきが大きい
- 10〜30万円以上が一般的
- 工場出荷時から色精度を調整済み
- 定期的にキャリブレーション(再調整)を実施
- 色の正確な再現を最優先にした設計
- 写真家・映像クリエイター・印刷業界で使用
プロのカメラマンが写真の色を調整(レタッチ)するときは、カラーマネジメントモニターの前で作業しています。一方、クライアント側のオフィスモニターは汎用品であることがほとんど。この「見るための道具の差」が、色の見え方の違いを生んでいます。
カラーキャリブレーションとは
カラーキャリブレーションとは、モニターの色表示を基準値に合わせる調整作業のことです。専用のセンサー(キャリブレーター)をモニターにかざし、ソフトウェアが自動的に色プロファイルを生成・適用します。
モニターは新品でも個体差がある上、使い続けるうちにバックライトの劣化や経年変化で色が狂っていきます。カラーキャリブレーションを定期的に行うことで、「自分のモニターが今どんな色で見えているか」を把握し、常に正確な状態を保てます。プロカメラマンは多くの場合、月1回程度この作業を実施しています。
一般的なオフィスのモニターは、購入から数年が経過すると当初より輝度が落ち、色味も変化しています。「なんとなく暗くなった気がする」「白がやや黄色く見える」という感覚は正しく、モニターが劣化しているサインです。キャリブレーションを行っていない環境では、写真の色を正確に判断することが難しくなります。
色味が気になったら、まずiPhoneで確認を
「自社のモニターをキャリブレーションする」のは現実的ではないかもしれません。そこで担当者が今すぐできる代替手段が、iPhoneなど高精度なスマートフォンで確認することです。
iPhoneをはじめとするAppleデバイスのディスプレイは、出荷時から高精度のカラーマネジメントが施されており(Display P3規格対応)、一般的なオフィスモニターよりも正確な色再現性を持っています。OSレベルで色プロファイルが管理されているため、ユーザーが特別な設定をしなくても、ある程度信頼できる色で表示されます。最新のAndroidフラッグシップも同様に高精度なディスプレイを搭載しており、ここ数年のハイエンドスマートフォンであれば有効な確認手段になります。
① 納品された写真をスマートフォンに転送する(AirDropまたはメール添付)
② iPhoneであれば「写真」アプリで開く(ブラウザではなく写真アプリで)
③ パソコンのモニターと見比べて、色・明るさの差を確認する
④ 差がある場合、スマートフォンの見え方を「正」として判断するのが無難
それでも気になる場合はご相談を
スマートフォンで確認しても「やはり色がおかしい」と感じた場合は、撮影・現像のプロセスに問題がある可能性があります。その際は遠慮なくカメラマンに確認してください。
SIGNAL FORWARDでは、納品後の色味に関するご相談にも対応しています。「パソコンで見たときとスマホで見たときで色が全然違う」「サイトに掲載したら思ったより暗く見える」といったケースも、原因を一緒に確認してご対応します。まずはお気軽にご連絡ください。
なお、ブラウザによっても写真の色が変わることがあります。ChromeとSafariの違いや画像ビューワーの特性については、次の記事で解説しています。